犬は、人間と同じで、年を取ると病気や怪我をしやすくなります。
大事な愛犬が病気や怪我で、元気がないと心配になりますよね。
犬種によってかかる病気や怪我は異なります。病気や怪我について把握しておくことで、対策が立てられます。
今回は、小型犬がかかりやすい病気・対策について紹介します。
目次
小型犬の病気ランキング | 足や嘔吐・呼吸困難【治療について】
小型犬は
- トイ・プードル
- チワワ
- ポメラニアン
- マルチーズ
- ダックスフンド
- コーギー
など78種類います。
小型犬は、様々な病気にかかりやすいですが、特にかかりやすい病気は以下の通りです。
- 脳・神経疾患:水頭症
- 心疾患:僧帽弁閉鎖不全
- 消化器疾患:出血性胃腸炎
- 泌尿器疾患:尿路結石症
- 骨や関節疾患:膝蓋骨脱臼
- 呼吸器疾患:短頭種気道症候群
水頭症
水頭症とは、脳脊髄液が脳内で溜まる事で脳を圧迫する病気です。
原因
遺伝的要因:チワワ、トイプードル、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャテリアなど小型犬で,短吻系の犬が発症する傾向が多いです。
発症時期は、生後3ヶ月~半年の間で、その頃になると神経症状が現れ始めます。
後天的要因:脳腫瘍や脳出血など他の疾患が原因で、脳脊髄液の経路が塞がれたり、脳脊髄液が大量に産生されたりすると発症します。
症状
- ドーム状に頭が膨らむ
- 歩行時に足が震える
- 何もなくても怒りやすくなる
- 頭のてっぺんに溝がある
- 眼球が外側斜視になっている
- ぐったりしている
- 寝ている時間が増える/昏睡
- 食欲不振/過食
- てんかん
治療
対症療法:根治が難しい病気なので、症状の軽減を目的とした治療がメイン。脳圧を下げるために、ホルモン薬や降圧利尿薬などを投与します。
外科手術:脳室腹腔シャントという手術が行われます。脳内に溜まった脳脊髄液を、腹部から通したチューブで正常な流れに循環させます。
ただ、すでに広範囲に脳神経が損傷を受けていると、手術をしても症状が完全に改善されるとは言い切れません。
シャントは、一度設置すると外すことができない事を飼い主は覚悟しておく必要があります。
予防
水頭症の予防法はありません。
できる事は、愛犬の様子を観察する事です。少しでも違和感を感じたら獣医に相談する事ですね。
小型犬は、水頭症になる可能性が高いので、小型犬を迎え入れると決めた時は、水頭症の事も覚悟したうえで迎え入れてください。
僧帽弁閉鎖不全
僧帽弁閉鎖不全とは、心臓にある左心房と左心室の間にある僧帽弁が、閉まらなくなることで血液の逆流する病気です。
原因
原因ははっきりされておらず、加齢による発症の可能性が高いと言われています。特に、トイプードルやポメラニアン、チワワ、マルチーズなど発症が多いです。
症状
- 乾いた咳
- 動いたりすると、すぐに息が上がりやすい/疲れやすい
- 呼吸困難
- 貧血
- 元気がない
- 手足冷感
- 食欲不振/急激な体重減少
治療
僧帽弁閉鎖不全を完治させる治療法はありません。対症療法で症状を緩和する事です。
内服薬で血管を拡張させて心臓に溜まった血液を全身に回るように流れやすくします。この薬は、一生飲み続けなければなりません。
予防
僧帽弁閉鎖不全にかかったら、心臓に負担をかけない生活を徹底することです。
- 室温温度を犬の適温に合わせる(熱・寒すぎず呼吸しやすい温度)
- 肥満予防/肥満なら減量
- 激しい運動を控えて、軽めの運動にする
- 心臓病対応の食に変更する
- 余分な塩分を控える
- 定期的な健康診断
激しい運動をすると、多くの血液が心臓に流れ込み、僧帽弁が閉じている事で血液が溜まり心臓に負担をかけてしまいます。
心臓への負担軽減のためには、軽めの運動や安静、十分な休憩が重要です。
肥満により血圧が上昇するので、心臓に負荷がかかります。人間と同じで、人間も肥満により心臓に負荷がかかり、呼吸しづらかったりしますよね?
それと同じで、犬も肥満による心臓負荷で、呼吸困難などを起こしやすいです。
心臓病で注意すべきなのが、塩分の摂り過ぎです。過剰な塩分の摂り過ぎにより、体内に水分が溜まりやすく血液量が増えてしまい、心臓に負荷がかかります。
塩分制限は、獣医の支持の元に準備するか心臓病専用の専用食を使うのもいいですよ。
人間の感覚での塩分量は、犬にとってはかなりの塩分摂取量になるので、犬の年齢や体重から算出した塩分量にしましょう。
心臓負荷により体温調節ができないので、夏冬の気温変化に体が付いていけません。
室内の温度を犬が快適に過ごせる温度に設定してください。
僧帽弁閉鎖不全は、初期症状が表れないので、見逃す事が多いです。症状が進行して初めて気づく感じですね。
病状が悪化すると、体に血液を送れなくなることで酸素不足となり、昏睡や失神してしまう事もあります。
早期発見として、普段と違う様子が続いたら、病院につれていくことです。
出血性胃腸炎
出血性胃腸炎:胃・腸の炎症悪化により、出血や胃・腸の粘膜が破壊される病気です。
原因
原因ははっきりしておらず、小型犬に発症する傾向が多いと言われています。特に、若い小型犬で、トイプードル、マルチーズ、ポメラニアンなどです。
症状
- 突然の嘔吐を繰り返す
- 血の混じった嘔吐/下痢(見た目がジャム)
- 体温/血圧低下
- 呼吸や脈拍が速くなる
- 食欲不振
5歳以上の小型犬が発症します。突然、嘔吐を繰り返し、ショック症状(呼吸困難や血圧低下など)を引き起こします。ショック症状が起こると短時間で進行し、重篤な状態や最悪、死亡することもあります。
治療
原因がはっきりされていないので、対症療法で症状を緩和させる治療を行います。
抗生剤。・ステロイド・輸液投与などで、細菌感染やショック症状・胃・粘膜破壊による脱水症状を防いだりします。
予防
原因がはっきりされていないので、予防法はありません。できることは、日頃から愛犬の様子を観察しておくことです。
尿路結石
尿路結石は、腎臓から尿道までの経路(尿路)に結石ができる病気です。
偏った食事
結石の元になるシュウ酸、マグネシウム、カルシウム、リン酸を多く含む食べ物を過剰に摂りすぎると、結石ができやすくなります。
- タンパク質過剰摂取も、結石の原因になるので注意
- 尿路結石になった事がある犬は、高タンパク食を避ける
排尿を我慢してしまう
結石ができるのには、時間がかかります。
「トイレの我慢」「散歩の拒否」などトイレの機会を我慢すると、膀胱内に尿が溜まり結石をできやすくなります。
水分摂取不
水分摂取が少ないと、体内の水分不足により少量の尿しか作られないので、尿中濃度が濃くなり結石ができやすくなります。
運動不足
運動不足・避妊や去勢手術によるホルモンバランスでの肥満により、代謝が低下し、体内の水分不足となり結石ができやすくなります。
代謝性疾患
糖尿病など代謝疾患にかかっている犬は、結石ができやすいと言われています。
尿路感染疾患
細菌性膀胱炎など膀胱の炎症から残尿が発生し、結石ができやすくなります。
トイプードルやコーギー、ヨークシャテリアなど小型犬がかかりやすいと言われています。
症状
- 血尿/頻尿
- 排尿時の痛み
- 結石により尿路が詰まり、排尿ができない
- 白や紅茶の様な赤色に濁る尿
- トイレの失敗
- 元気がなく食欲不振
尿路感染は重篤化すると全く尿が出なくなり、尿毒症になる可能性もあります。また、排尿痛などでスムーズに排尿ができないことで、犬がストレスを感じてさらに病状が悪化することも。
結石ができやすい食べ物
- 煮干し
- パルメザンチーズ
- 鰹節/干しエビ
- 鶏ささみが原料のジャーキー
- ほうれん草
- 大豆/納豆/小豆/ひじき
- アーモンド
- ピーナッツ
- レタス/チンゲン菜/緑茶
- さつまいも
- ブロッコリー
- バナナ
ドックフードにこれらの食べ物が含まれている場合は、獣医に相談しましょう。
これらの食べ物は、リンやマグネシウムなどが含まれており結石の原因になります。しかし、リンやマグネシウムなどは、体に必要な栄養素でもあるため全くとらないのは駄目です。
過剰摂取しすぎると結石ができやすくなりますが、全く食べないではなく量に注意するのが大事です。
治療
尿路結石の治療法は、薬物療法と手術、食事療法です。
薬物療法
結石により出にくくなった尿を出るように、利尿作用のある薬を使います。
この薬は、「尿路に細菌が留まるのを防ぐ」「小さな結石ができたらすぐに、排尿を促し尿路閉塞を防ぐ」「結石による尿路への損傷を抑える」という効果もあります。
ただ、利尿剤は、大量の水分摂取が必要なので、新鮮な水をこまめに飲めるようにしておく必要があります。
利尿剤の他にも細菌感染抑制の「抗生剤」や結石による尿路の出血を止める「止血剤」、尿路結石特有の排尿時痛に対する「鎮痛剤」なども使われます。
手術
薬物療法でも結石を除去できない場合などに、行います。一度、結石を取り除いても二度と尿路結石にかからないというわけではありません。
術後は、食事・薬物療法を併用していくことが、結石を作り出さないようにする方法です。
食事療法
食事療法は、すぐに効果が出る訳ではありません。1か月を目安に行い、食事療法が愛犬に適しているか様子を見る必要があります。
1か月しても変化がない場合は、獣医に相談した方がいいですね。
逆に食事療法が適しておらず、病状が悪化してしまう可能性もあるので、1か月したら獣医に見てもらった方がいいです。
予防
尿路結石の予防法は、食事療法がおススメです。結石ができやすい食材をさけての食事をするだけでも、尿路結石の他に肥満など他の病気の予防にもなります。
ただ、食事療法をする際は、一度獣医に相談してからにしましょう。多くの飼い主は、動物関連の知識をもっていないので、知識を持たないまま行うのは、逆に結石をできやすくしてしまうかもしれません。
また、適宜新鮮な水を飲んでもらうように、トイレを我慢させない環境を作る事です。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝にある膝蓋骨が外れる病気です。
原因
トイプードルやチワワ、ポメラニアンなど小型犬が発症する事が多いです。
生後4か月以降に発症する事が多く、軽度なら自然と元に戻りますが、重度で放置すると最悪、靭帯断裂の可能性があります。
主な原因は、高い場所などからジャンプやフローリングなど滑りやすい床を走った/歩いた時に滑って足に負担をかけている事です。
小型犬は、足腰の関節や骨が弱いので、少しの衝撃や負担でも骨折や脱臼をしてしまいます。
症状
膝蓋骨脱臼は、I~Ⅳの症状程度があります。
- 無症状で気づきにくく、たまに歩き方がおかしい時があるが、自然と治っている。
- 時々、足を浮かせながら歩くが、足を曲げ伸ばしすると、元に戻る。
- 足を引きずるように歩いている(常に脱臼している状態だが、整復可能)
- 骨が変形しており、膝を曲げたまま歩いたり、歩けなくなくなることも。(整復不可能)
Ⅰの段階では、無症状に近いので飼い主は気づかない人は多いです。しかし、犬の脱臼は一度すると癖になり、繰り返すことで関節に炎症を起こし痛みが出る事もあります。
Ⅳまでに行くと、手術をしても回復の見込みがないので、日頃から愛犬の歩き方の観察が必須です。
治療
膝蓋骨脱臼の治療法は、「投薬」「レーザー治療」「外科手術」です。
投薬
Ⅰ~Ⅱの脱臼しているが、無症状や数カ月に1回程度しか脱臼をしない場合に、痛み止めや消炎剤の薬を飲んで軽減します。
レーザー治療
一時的に炎症や痛みなどを和らげるために行います。
外科手術
Ⅲの状態の場合、膝蓋骨を戻す整復手術をします。
ただ、Ⅳの状態まで重症化すると後ろ足の変形や靭帯損傷などで、手術ができないので、歩き方がおかしいと感じたらすぐに、病院に連れて行きましょう。
予防
膝蓋骨脱臼は、足腰への負担をかけないようにすることです。
- 足の裏の爪・毛を短く保つ(深爪しすぎないように)
- フリーリングにジョイントマットなど滑らないようにマットを敷く
- ソファやベッドに階段やスロープを置く
- 肥満にならないように体重管理をする
- 過度な散歩や運動は避けて、適度にする
多くの家庭では、フローリングの床が使われているので、日頃の生活で少しずつ足腰の関節や骨に負担をかけてしまっています。
足の裏の毛は、滑り止めの役割がありますが、毛が伸びすぎると滑り止めの意味がなくなり逆に、滑りやすくなります。
また、ソファやベッドから飛び降りるとかなりの衝撃が足腰に来るので、ソファやベッドにスロープや階段をつけるのがいいですね。
また、ソファを段差のないマット形式のソファにするのもいいです。
これらの予防法をしながら、毎日愛犬の歩く様子を観察する事も膝蓋骨脱臼の早期発見に繋がります。
飼い主ができることは?
愛犬を病気から守るためには、毎日、愛犬のしぐさを観察し体に負担をかけない生活環境に整える事です。
小型犬がかかりやすい病気は、予防法や原因がはっきりされていないのもあります。中には完治できずに一生病気と付き合っていかなければならない病気も。
私達飼い主ができることは
- 症状の軽減と悪化防止
- 毎日を過ごしやすい環境に整えること
- 定期的な健康診断・トリミング
トリミングは、毛を整えるだけでなく、触れる事で体の異変に気付ける大事な機会でもあります。
実際に、トリミング時に体に触った際にイボのようなものがあったとの報告から、検査したところ腫瘍だったとの例もあります。
大事な家族を守るためにも、日頃から愛犬の様子を観察し、違和感を感じたら、獣医に相談しましょう。
まとめ
今回、小型犬がかかりやすい病気について紹介しました。
小型犬に限らず、犬は人間より寿命が短いのでどうしても飼い主より先に虹の橋に行ってしまいます。
短い寿命の中でも愛犬が元気よく過ごせるようにするためには、飼い主が、日々の生活の中で愛犬の異変に気付けるように気をつけなければなりません。
今回紹介した事を参考にしてみてください。